2023年の確定申告の変更点は?
2023/12/20 (Wed) 14:00
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_┃ ☆さくら会計 メールマガジン☆ 第14号 ┃_
┃ 2023年12月20日配信 ┃
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・特集……………… 2023年の確定申告の変更点は?
・ちょっとブレイクタイム……………… 本年のご挨拶
■ 特 集 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
2023年の確定申告の変更点は?
2023年における確定申告について、まず制度として2023年の税制改正によって変更された部分を見ていきましょう。
税制改正によって、所得税だけでも多くの改正点がありますが、その中でも理解しておきたい3点を取り上げます。
●住宅ローン控除の適用期限・借入限度額等の見直し
住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを取得(リフォームも含む)等した場合において、一定の要件のもとに住宅ローンの年末残高を基に居住した年分以降の所得税額から一定の控除(住宅借入金等特別控除)を受けられるというものです。正式名称は、「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」と言います。
対象となる人は年内に住宅ローンを組み、一定のマイホームの取得やリフォームをして、そのマイホームに住む人となります。所得制限は2,000万円です。
この制度は、所得控除とは異なり「税額控除」であり、所得税額からの直接減額となるため、節税効果の高い制度となります。
主な変更点は以下の3点です。
・住宅ローン控除の適用期限を4年延長し、2025年12月31日までに入居した人を対象とする
・2050年カーボンニュートラルの実現に向けた措置として、省エネ性能の高い住宅の取得を促す
・控除率を改正前の1%から0.7%とする
今回の改正では、残念ながら控除率は下がってしまい、所得税額から控除される控除額は次のとおりとなります。
住宅ローン控除額 = 年末時点での住宅ローンの残高 × 0.7%
さらに、住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が改正前の3,000万円以下から2,000万円以下と厳しくなっていますが、所得が1,000万円以下の人の床面積要件が緩和されるなどの見直しもあります。
●居住用財産の買換え等に関する特例等の見直し
マイホームの買換えにあたっての特例が見直しをされました。
マイホームを売却してその代わりのマイホームを買い換えた場合、一定の要件のもとに売却益の繰り延べ(非課税となるものではなく、買い換えたマイホームを将来売却するときまで課税を待ってくれるという意味)ができるというものです。
対象となる人は年内にマイホームを買い換えた際、買い換えたマイホームの価額のほうが安かったため、売却益が出た人です。
主な変更点は以下の2点です。
・特例の適用期限を2年延長し、2023年12月31日までとする
・買い換えた新築のマイホームが一定の省エネルギー基準に適合していること
この特例は売却にあたって利益のある人を対象としていますが、他に損失のある人についての規定の見直しもなされています。
参考:令和4年度税制改正の解説|財務省、租税特別措置法等(所得税関係)の改正|財務省
●社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に関する確定申告手続きの見直し
今回の改正では、手続き面における変更点もあります。年末調整や確定申告において、添付すべき「書面」を「電子データ」で提供できるようになりました。
もともと、年末調整や確定申告において下記の所得控除や税額控除を適用するためには、それぞれの証明書や根拠資料を添付又は提出時に提示する必要がありました。
これらのうち、すでに生命保険料控除をはじめとするいくつかの控除については、電子データでの提出が可能です。今回の改正により、さらに社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除も電子データでの提出が可能となりました。
対象となる人は、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除を適用する人で、控除証明書の発行者から電子データで証明を受けた人です。
参考:令和4年度 税制改正の解説|財務省、所得税法等の改正|財務省
次に、確定申告書の様式にも変更がありますので、ご紹介します。
●確定申告書Aが廃止
2023年に提出する令和4年分の確定申告から、確定申告書Aの書式が廃止されます。昨年度までの申告においては、確定申告書Aがあり、確定申告書Bの簡易版のような位置づけでした。
サラリーマンで医療費控除などの適用を受ける人や、給与と年金がある人など向けに確定申告書Aという書式がありましたが、2023年からは1本化されます。したがって、提出の際はAとBの区別はなくなり「確定申告書」とのみ表示されます。
サラリーマンで、今までずっと確定申告書Aを利用していた人が確定申告書Bを使うと、項目が多く煩雑に感じられるかもしれませんが、基本的に違いはありません。
書式一本化の理由は特に述べられていませんが、デジタル時代に複数のフォーマットを持っておくよりも、簡素化したほうがよいという考えの表れかと思われます。
●第一表に「修正申告」欄が追加
修正申告とは、確定申告期限後に本来納付すべき税額よりも少ない税額で申告してしまった場合に修正して申告することを言います。今回の変更では、申告書第一表に「修正申告」欄が設けられ、修正申告書(別表)第五表は廃止されます。
従来は修正申告の場合、申告書は原則として「第一表」と「第五表」(別表)の提出が必要でした。修正申告時には第五表に修正前の所得や税額、そして修正による増加する税額などを記載し、第一表には修正後の所得や税額を記載するというものでした。
従来の申告書の別表第五表には一度提出した申告書と同一のことを記載する部分が多かったこともあり、上記と同様、簡素化の表れでしょう。
●申告書Aと第五表の廃止による申告書の種類
【収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応】
個人事業主の場合、白色申告においては「収支内訳書」を確定申告書に添付して提出します。収支内訳書は事業所得や不動産所得などで必要とされてきましたが、これに加えて2023年の申告から一定の雑所得についても収支内訳書の提出が必要となります。
雑所得には、次の種類があります。
・公的年金等
業務にかかるもの(副業の収入などで、営利を目的とした継続的なもの)
・上記以外
このうち、2つ目の業務にかかる雑所得について「前々年度の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書の提出が求められるようになりました。具体的な改正内容については、後述の「雑所得の計算に関する規定の明確化」で説明しています。
雑所得について、上記にあてはまる人は下記の欄の「雑(業務)」に丸をつけて提出しなければなりません。それ以外の個人事業主などは、「営業等」に丸をつけます。
今年の確定申告については大きな変更はありませんが、申告の際上記内容に該当する方もいるかと思いますので、ご参考下さい。
■ ちょっとブレイクタイム ━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
〇本年のご挨拶
本年もさくら会計のメールマガジンをご愛読いただきありがとうございました。
今年から様式をリニューアルしての発行となり、これからもより皆様の目を引くような内容にしたいと思っております。
2024年も宜しくお願い致します。
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2023年の確定申告の変更点は?
2023年における確定申告について、まず制度として2023年の税制改正によって変更された部分を見ていきましょう。
税制改正によって、所得税だけでも多くの改正点がありますが、その中でも理解しておきたい3点を取り上げます。
●住宅ローン控除の適用期限・借入限度額等の見直し
住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームを取得(リフォームも含む)等した場合において、一定の要件のもとに住宅ローンの年末残高を基に居住した年分以降の所得税額から一定の控除(住宅借入金等特別控除)を受けられるというものです。正式名称は、「住宅借入金等特別控除」または「特定増改築等住宅借入金等特別控除」と言います。
対象となる人は年内に住宅ローンを組み、一定のマイホームの取得やリフォームをして、そのマイホームに住む人となります。所得制限は2,000万円です。
この制度は、所得控除とは異なり「税額控除」であり、所得税額からの直接減額となるため、節税効果の高い制度となります。
主な変更点は以下の3点です。
・住宅ローン控除の適用期限を4年延長し、2025年12月31日までに入居した人を対象とする
・2050年カーボンニュートラルの実現に向けた措置として、省エネ性能の高い住宅の取得を促す
・控除率を改正前の1%から0.7%とする
今回の改正では、残念ながら控除率は下がってしまい、所得税額から控除される控除額は次のとおりとなります。
住宅ローン控除額 = 年末時点での住宅ローンの残高 × 0.7%
さらに、住宅ローン控除の適用対象者の所得要件が改正前の3,000万円以下から2,000万円以下と厳しくなっていますが、所得が1,000万円以下の人の床面積要件が緩和されるなどの見直しもあります。
●居住用財産の買換え等に関する特例等の見直し
マイホームの買換えにあたっての特例が見直しをされました。
マイホームを売却してその代わりのマイホームを買い換えた場合、一定の要件のもとに売却益の繰り延べ(非課税となるものではなく、買い換えたマイホームを将来売却するときまで課税を待ってくれるという意味)ができるというものです。
対象となる人は年内にマイホームを買い換えた際、買い換えたマイホームの価額のほうが安かったため、売却益が出た人です。
主な変更点は以下の2点です。
・特例の適用期限を2年延長し、2023年12月31日までとする
・買い換えた新築のマイホームが一定の省エネルギー基準に適合していること
この特例は売却にあたって利益のある人を対象としていますが、他に損失のある人についての規定の見直しもなされています。
参考:令和4年度税制改正の解説|財務省、租税特別措置法等(所得税関係)の改正|財務省
●社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除に関する確定申告手続きの見直し
今回の改正では、手続き面における変更点もあります。年末調整や確定申告において、添付すべき「書面」を「電子データ」で提供できるようになりました。
もともと、年末調整や確定申告において下記の所得控除や税額控除を適用するためには、それぞれの証明書や根拠資料を添付又は提出時に提示する必要がありました。
これらのうち、すでに生命保険料控除をはじめとするいくつかの控除については、電子データでの提出が可能です。今回の改正により、さらに社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除も電子データでの提出が可能となりました。
対象となる人は、社会保険料控除や小規模企業共済等掛金控除を適用する人で、控除証明書の発行者から電子データで証明を受けた人です。
参考:令和4年度 税制改正の解説|財務省、所得税法等の改正|財務省
次に、確定申告書の様式にも変更がありますので、ご紹介します。
●確定申告書Aが廃止
2023年に提出する令和4年分の確定申告から、確定申告書Aの書式が廃止されます。昨年度までの申告においては、確定申告書Aがあり、確定申告書Bの簡易版のような位置づけでした。
サラリーマンで医療費控除などの適用を受ける人や、給与と年金がある人など向けに確定申告書Aという書式がありましたが、2023年からは1本化されます。したがって、提出の際はAとBの区別はなくなり「確定申告書」とのみ表示されます。
サラリーマンで、今までずっと確定申告書Aを利用していた人が確定申告書Bを使うと、項目が多く煩雑に感じられるかもしれませんが、基本的に違いはありません。
書式一本化の理由は特に述べられていませんが、デジタル時代に複数のフォーマットを持っておくよりも、簡素化したほうがよいという考えの表れかと思われます。
●第一表に「修正申告」欄が追加
修正申告とは、確定申告期限後に本来納付すべき税額よりも少ない税額で申告してしまった場合に修正して申告することを言います。今回の変更では、申告書第一表に「修正申告」欄が設けられ、修正申告書(別表)第五表は廃止されます。
従来は修正申告の場合、申告書は原則として「第一表」と「第五表」(別表)の提出が必要でした。修正申告時には第五表に修正前の所得や税額、そして修正による増加する税額などを記載し、第一表には修正後の所得や税額を記載するというものでした。
従来の申告書の別表第五表には一度提出した申告書と同一のことを記載する部分が多かったこともあり、上記と同様、簡素化の表れでしょう。
●申告書Aと第五表の廃止による申告書の種類
【収支内訳書が「雑所得(業務)」の申告に対応】
個人事業主の場合、白色申告においては「収支内訳書」を確定申告書に添付して提出します。収支内訳書は事業所得や不動産所得などで必要とされてきましたが、これに加えて2023年の申告から一定の雑所得についても収支内訳書の提出が必要となります。
雑所得には、次の種類があります。
・公的年金等
業務にかかるもの(副業の収入などで、営利を目的とした継続的なもの)
・上記以外
このうち、2つ目の業務にかかる雑所得について「前々年度の売上高が1,000万円を超えていた場合」に収支内訳書の提出が求められるようになりました。具体的な改正内容については、後述の「雑所得の計算に関する規定の明確化」で説明しています。
雑所得について、上記にあてはまる人は下記の欄の「雑(業務)」に丸をつけて提出しなければなりません。それ以外の個人事業主などは、「営業等」に丸をつけます。
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発行開始日:2023年6月14日
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