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『草本叙説』06 平出隆 +〔澤直哉〕

photo : Satoshi Sugitani

 詩のまやかしについて絶望したことのない詩人というものが時を超えてありつづけていて、そのことへの際どい抵抗が、一筋の途絶えがちの論理となる。もし言語というものを、共有しうる確固たる基盤として考えるだけならば、ただちにあの一群に紛れることでしょう。反対に、詩のまやかしに抵抗するために、それをもたらした既知の言語を糺し、細部から刪正しようとさえするのであれば、もう一つの言語にも拠らなければなりません。

〔あれらは共有基盤を制定し、やましさを隠すため適宜訂正するに過ぎません。友敵の選定、賛成と反対のあられもないやかましさへの参戦が、参政、とそこでは呼ばれるようです。抵抗はその荒野の底から現れてくる、あれたちの荒れ立ちでありましょう。あれらはそれを来敵と見紛うのみでしょうが。〕

 既知の言語の底の方から、未知の言語が迫り上がってくる。押し黙ったままの事物が語りかけてくるその言語。しかし、そこにも文法があり、時制があるのではないか。ごくわずかの書き手とともに私が呼ぶ散文とはそのようなものです。

H〔S〕H


[平出隆総譜-講演]2022-03-12 「与謝蕪村」と題して、世田谷区中町ふれあいホールで、多摩美術大学公開講座2021生涯学習プログラム連続講座「芸術家列伝 18世紀」の1講座として講義[d6]




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