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『思惟とあらわれ』のコペルニクス的転回

photo : Takashi Hiraide

鮮やかな詩的想像力と完備された散文的仕掛けが渾然一体となって、
見えないオブジェを次々と出現させている
河野道代の詩集『思惟とあらわれ』。
ジャコメッティやモランディなどを介しつつも、
言葉の本質を物の本質に対置させるという詩の王道を、
迷うことなく進んでいる詩人の近年の優れた成果です。
しかし、『思惟とあらわれ』にあるのは、
古典的な美学の展開ではありません。そこに起こるのは、
「物」の声を聴き留めて行う詩への転位を
もう一度「物」の意識へと反転させる思索的転位です。
二つの転位が、ここでは往還的に、また同時的に惹き起こされています。

「『思惟とあらわれ』のコペルニクス的転回とは、言語に思考のまわりをめぐらせることなく、思考が言語のまわりをめぐるようにしたことである。さらに驚くべきことには、言語にオブジェのまわりをめぐらせることなく、オブジェが言語のまわりをめぐるようにしたことである。」



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panta rhei 叢書05
2刷 2023-08-23



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